これから卒業論文などでLaTeXを使う人へ向けて

余り書くことがないので,LaTeXの初心者への注意点を書いてみる.
所属研究室での使用状況がわりとひどかったから……

その情報は古くなってないですか?

{\it ...}とかで書体変更はしない方がいい

この書体変更法は昔(LaTeX 2.09)時代のものです.現在では,\textitなどの命令を使うのが一般的です.古い方法では,例えば「イタリックかつボールド」なんて指定をやろうとすると苦労するはずです.もちろん,イタリック体を表示するために$で囲むのは論外です.

EPSに変換しなければいけないという時代は終わった気がする

卒業論文を書く環境では,DVIPDFMxを使ってPDFに変換することが一般的になってきました.LaTeX用のエディタもそのような設定になっているはずです.その環境でわざわざEPSに変換することはほぼ無意味です.PNGJPEGが使えます.PDFそのものが埋め込めたりもします.DVIOUTやxdviなどがその表示に対応していないだけです.Adobe Readerあたりで見ればちゃんと画像は入っています.

どこから情報を得ればいいのさ?

美文書だったり独習だったりが初心者向けのベストチョイスだと信じています.

版面変更はgeometry.styがいいと思うんだ

我が大学の出身学科では,レポート用のテンプレートが公開されていて,卒業論文でもそれをコピーして使う人が多いようです.更にそれをよくわからないまま改変する奴がいます.特に多いのが,余白などのレイアウト指定を変更する人です.あのテンプレートを含め,よくある方法では版面の変更を\setlengthなどを利用して行います.それはLaTeXの範囲で正しいコードです.しかし,よくわからないまま使うのはおすすめできません.よくわからないエラーが出て,よくわからなものが出来上がります.

それならば,geometry.styを使うのがいいと思うのです.使い方は調べればすぐに出てくるので割愛.

エラーは出ているし,それを読めないことはないはずなのです.

よくある「エラーを吐かずに変な出力が出てきた」という質問ですが,これは統合開発環境を使っている人に多いようです.この状況は「LaTeXとして正しいコードを書いているけど,それは意図したものではない」場合と「エラーは出ているけども見ていない」場合の二通りがあり,前者は本でも呼んで精進してくれとしか言い様がないと思います.後者の場合は開発環境によって隠されてしまっていることが多いです.

.logにログがあるので見ることをおすすめします.

ダーティトリックは神々の遊びです.

LaTeXTeXの上に組まれたマクロの集まりです.LaTeXの仕様を理解しながらTeXコードを書き,通常のLaTeXでは困難なことを実現する技術「TeX on LaTeX」を持つ者たちが,戯れに文書中でプログラムを始めたりします.初心者がこれを見習うのはやめたほうがいいです.不可思議なエラーに悩まされるのが関の山です.無理やり実現する前に,それが文書として妥当なものなのかを考察するのがいいと思います.

駄文終わり